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大松明について | 吉田の火祭り

大松明について

大松明の制作

薪割り

薪割り
薪割り(まきわり)

 薪を割るのに用いるのは、ヨキと呼ばれる斧である。ヨキウケという台に薪を斜めに置き、地下足袋の指の股で薪を押さえて割る。
 薪は、細かく割るので燃えるのだという。太い薪をまとめただけでは燃えない。薪の割り方、まとめ方、積み方がきれいに燃えるためのこつであるという。タイマツに火をつけて十五分くらいが、もっともタイマツが美しい時間だという。これは、火をつけて半分っくらい燃えないと下から風が入らないからで、十五分後くらいが、火が燃えながら風を引っ張るので美しく燃えるのだという。
 薪のうち、切り口が赤いものは、「ヤニが強い」という。このような薪は、タイマツの上部に用いる。

薪を積む

薪を積む
薪を積む

 割った薪を木枠に入れて揃える。枠に入れるときに切り口がきれいに揃うようにする。枠一杯になると縄を積んだ薪に下からくぐらせて上で結び、枠から抜く。
 束ねた薪は、薪を二本置いた上にのせ、縄を二回ずつ回して縛り、花鋏で縄を切る。三か所縛った後、薪を寄せて、隙間に細い薪を詰めながら、形をまるく整えていく。
 四か所目の縄を縛ると、束を持ちあげてくるりと回し、五か所目を縛る。こうすると、常に自分の右側で縄を縛るようになる。全体の縄の位置を確認しながら、六か所目、七か所目の縄を縛ると、束を立てて、上から体重をかけて、隙間に細い薪を追加し、ヨキの背で叩きながら形を整え、縄の位置のバランスを整える。
 束を持ちあげてドスンと落とし、さらにヨキの背で横から叩くと、隙間ができるので細い薪を追加する。これを二、三回繰り返し、薪の束が完成する。

芯を入れる

芯の先端を割る
芯の先端を割る

芯を入れる
芯の先端を割る

 芯にする丸太はスギかヒノキを用いる。本来であればマツがよいのであるが、まっすぐな松はあまりないので、ヒノキを使っている。ヒノキは節がまばらであるので、タイマツに組み立てて重量がかかった時にも折れない。タイマツは200キログラムくらいになるので、それだけの重量に耐える芯にするのはヒノキが適当であるという。
 丸太は、まず、枝の出ていた箇所をヨキできれいに削り、平らにする。先端をヨキで割る。先端を割ったら、割れ目にくさびを入れて木槌で叩きながら割り込み、全体の四分の一から五分の二くらいの長さの割れ目を入れる。
 薪を束ねたところの中央から、丸太の太さくらいの分の薪を抜く。ここに丸太を差して立てる。
 ヨキの背や金槌で薪を叩いて隙間の調整をし、隙間には薪を詰める。

ツナギを差す

ツナギを差す
ツナギを差す>

 芯を囲むように、一段目の薪に、ツナギにする薪を差し込んでゆく。ツナギは、薪よりも長く、八十センチメートルから百センチメートル弱ほどの長さであり、先端はくさびのように削ってある。アカマツの薪ではなく、廃材などを利用する。
 ツナギがある程度入ったら、回りを縄で囲み、薪を差し込んでゆく。ツナギと薪を入れながら、持ち上げてはドスンと落として、隙間の調整をする。

経木を巻く

紐でツナギを固定し、薪をいれる
紐でツナギを固定し、薪をいれる

バタを入れる
バタを入れる

経木を巻く
経木を巻く

更にツナギを入れる
更にツナギを入れる

 薪を二段積んだら、二段目の回りをバタで囲み、縄で仮押さえする。バタは、木曽山のヒノキである。柱をとった残りなどの不要な部分からバタをとる。バタは、第二次世界大戦のころ薪や割り木が少なくなったので、使うようになったが、もともとは、アカマツの薪を薄く割ったものを使っていたという。
 一段目の薪には縄が六ヶ所縛ってあるが、その一番上の縄に引っかけるようにバタをはさむ。バタは、十四枚程度で回りを囲むことができる。
 バタの上に経木を巻いていく。一段目の束の縄にヘラを入れて隙間を作り、そこに経木を差し込んでいく。経木は十二枚ほどで一周した。差し込むのが終わると、経木の上から板で叩いて均し、経木の上部を縄できつく縛る。さらに、二本目の縄で経木の中央部、三本目の縄で一本目と二本目の間を縛った。
 ここで、二段目の仮押さえの縄をほどき、薪を足す。
 タイマツは上にいくにしたがって太くするので、形を整えながら薪を足す。ここでは十二本ほどの薪を足した。
 経木を入れる二周目に入る。一周目の経木の一番上の縄に経木をはさんでいく。はさむと、板で上から叩き、縄で縛る。二周目は経木の上から順に三か所縛った。
 同じ要領で三周目まですませる。三周目がすむと、タイマツはかなり高くなるので、ここで台を用意する。
 台に乗って、ツナギを入れる。ツナギを四本差し、薪を一本入れ、またツナギを差し、というように全体の具合を見ながらツナギと薪を入れ、上からヨキの背などで叩く。ある程度入れたところで、スジョウ(素性)のよい太い薪を四本ほど足し、台から下りる。
 バタを差す。バタは、前に差したバタの裏側に入るように差す。バタを差しながらも、隙間があると薪を差し込んでゆく。
 ここではバタを十八枚使って回りを囲った。差し込んだあと、木槌で叩き、形を整えて、縄で仮押さえをした。
 経木は四周目に入る。だいぶタイマツが太くなってきたため、経木は一周するのに十五枚を使った。五周目では経木を十六枚使った。上の方になると、バランスをとるのがむずかしくなってくる。縄で縛ると揺れるようになる。

下部の仕上げ

松明を倒す
松明を倒す

縄を七重に縛る
縄を七重に縛る

設置場所に倒しておく
設置場所に倒しておく

 経木の五周目が終わると、タイマツを倒して、下部の仕上げの作業に入る。今まで、立てて作業を行ってきたが、タイマツの先端から順に薪を積み、だんだん太くなるように作る。最後は、タイマツを倒して、横にした状態でタイマツの下部を作る。倒すときには、下に材木を三か所に置いて、そこに倒す。
 下部の薪が揃うように、上に出ている薪を叩いて奥に押し込んだり、長さが足りない部分に短い薪を足したりする。
 台にしている材木を動かし、縄のバランスを整えて、縄を七重に縛る。
 さらに、薪を足し、経木を差し込む。経木は、二一枚使った。タイマツを倒した状態で作業をしているので、途中、十四枚を差したところで、タイマツを回す。  最後の段の薪を詰める。支えにする木材、五本を差し込み、太くて短めの薪を詰める。この再度の段に使う薪は八寸から一尺くらいの長さである。隙間には五寸くらいの長さの木っ端も詰める。
 ここで、縄を九重に縛る。
 最後の経木を巻く。タイマツのもっとも太い部分であり、二三枚用いた。
 最後の薪を入れる。台になる部分であり、平らになるように、隙間にはバタを入れて調整をする。長さが合うように、薪の長いものは、切り落として、調整をする。芯の柱の回りには短い薪を並べる。柱とその回りの薪は、周囲よりも十五センチメートルくらい短くする。短くした部分が煙突の役割りを果たし、タイマツが勢いよく燃えるのだという。
 一番下になる経木に、縄を十一重に回して縛る。一番下の経木は、その下が十○センチメートルくらいあいているが、これをハカマと呼ぶ。
 底を何度も叩いて、隙間ができると、細く割った薪を差す。これを数回繰り返す。
 最後に縄を切りそろえてタイマツが完成した。

大松明配置図

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