社債再発行が出来なかったヤオハン
(1998.12.06)


以前,私は,ある女性から,こんな質問を受けました:「ヤオハンジャパンは,この低金利の時代に,なぜ全額また同じように転換社債や普通社債を発行して社債償還資金を集めなかったのですか?」

なかなか鋭い質問です.ヤオハンジャパンは,1996.12 のワラント債残額 117 億円の償還資金手当でつまづいたのを切っ掛けに,突如坂道を転げ落ちるように資金繰りに行き詰まって行きました.「低金利を利用して社債を発行して償還資金を手当していれば,倒産せずに済んだのではないか?」と思うのは,尤もであって,確かにその通りなのです.実際,そうしている会社もあります.
しかし,ヤオハンジャパンがそうしなかったは,新規社債発行を「する/しない」以前に「できなかった」からなのです.落ち着いて考えてみて下さい.ヤオハンジャパンが好業績で健全財務体質で日の出の勢いで業容を拡大して後光がさしていたときならば,社債を引受ける投資家は沢山居たでしょう.

後光がさしてるヤオハン

しかし,資金繰り行詰りが発覚した後では無理でした.ワラント債償還に先立つ1996.08 前後から仕入先に買掛金支払繰延を要請し始めてからは,債務不履行の危険性が高まり,投資家はソッポを向いてしまったのです.

ソッポを向かれたヤオハン

もしもの話になりますが,ヤオハンジャパンが密かに資金手当てが出来ていたとしたら・・・値下がりした社債の買入消却という手を使って,償還資金を節約しながら特別利益を計上することも出来ました.例えば,第 3 回転換社債は,倒産直前の 1997.09.18 で額面100円当たり 20.5 円でした.したがって,もしこの価格で全て買入消却することが出来たとしたら,2001.09 に残存額 198 億円償還するところを 41 億円で済ませて 157 億円の利益を計上出来たのでした.これならば,銀行などから年利率 10% で買入消却のための資金を借りたとしても,十分お釣が出るじゃあ〜りませんか.

買入消却による特別利益

逆の言い方をすれば,そんだけオイシイことを実行に移せないくらい資金繰りに行き詰まっていたことになります.実際には,従業員へのボーナスや仕入先への買掛金の支払すら滞っているような状態でしたから.とても,社債の買入消却にお金を回せるほどの余裕は無かったのです.


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