危険物施設の定期点検について
◎定期点検の必要性
危険物施設からの火災・流出事故は平成6年頃から全国的に増加傾向に転じ、現在も危険物施設が減少しているにもかかわらず、高い水準で推移しています。その原因については、火災では管理・確認不十分等の人的要因が、流出では腐食劣化等の物的要因によるものが多くなっています。
これら危険物施設において発生する火災、流出事故などの事故は、人命や財産に大きな被害を与えるばかりでなく、環境汚染など周囲に多大な影響を与えることになります。施設の異常を早期に発見し、被害を最小限に留めるためには、日常点検はもちろん、定期点検を適正に実施することが重要です。
◎定期点検が必要となる施設
消防法第14条の3の2では、定期点検の必要な施設の所有者等は、その施設を定期に点検し、点検記録を作成し、一定期間これを保存することを義務付けております。これに違反し、点検を実施せず、虚偽の点検記録を作成し又は点検記録を保存しなかった場合には、罰則が適用されることもあります。定期点検が必要となる施設は次のとおりです。
施設区分
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条件
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製造所
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地下タンクを有するもの
指定数量の倍数が10以上
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屋内貯蔵所
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指定数量の倍数が150以上
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屋外タンク貯蔵所
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指定数量の倍数が200以上
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屋外貯蔵所
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指定数量の倍数が100以上
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地下タンク貯蔵所
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すべて
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移動タンク貯蔵所
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すべて
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給油取扱所
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地下タンクを有するもの
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一般取扱所
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地下タンクを有するもの
指定数量の倍数が10以上(指定数量の倍数が30以下で、かつ引火点が40℃以上の第4類の危険物のみを容器に詰め替える一般取扱所を除く。)
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※富士五湖管内に設置されている施設のみを掲載しています。
※鉱山保安法及び火薬類取締法により対象外となる場合があります。
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◎具体的な実施項目
定期点検において点検すべき内容、点検を実施することができる者、点検の実施時期等は危険物の規制に関する規則に定められており、次のとおりです。
点検すべき内容
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・位置、構造及び設備が技術上の基準に適合しているか否かについて実施する。(※)
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点検を実施することができる者
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・危険物取扱者
・危険物施設保安員
・危険物取扱者の立会いを受けた者
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点検の実施時期
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・1年に1回以上
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点検記録の記載事項
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・点検を実施した製造所の名称
・点検の方法及び結果
・点検年月日
・点検を行った危険物取扱者若しくは危険物施設保安員又は点検に立ち会った危険物取扱者の氏名
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点検記録の保存期間
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・3年間(消防本部に報告する義務はありません。)
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(※)具体的には、総務省消防庁から「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」(平成3年5月29日付け消防危第48号消防庁危険物規制課長通知)により、施設区分ごとに定期点検が示されており、この定期点検記録表の項目について点検します。
◎定期点検記録表
総務省消防庁からの通知「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」(平成3年5月29日付け消防危第48号消防庁危険物規制課長通知)により、示されている製造所等の定期点検記録表は、必要に応じダウンロードのうえ、ご活用ください。
定期点検記録表のダウンロードページはこちらです。
※48〜69が該当する部分で、48と49が点検記録表の表紙となります。
◎特定の施設に定められている点検項目
災害発生防止の観点から、定期点検記録表の項目を補完する点検を実施しなければならない施設があります。該当する施設は、「危険物の規制に関する規則」に定められており、一定の屋外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、地下貯蔵タンク(地下埋設配管)を有する施設になります。
特に富士五湖管内においては、危険物施設全体の50%以上が地下貯蔵タンク(地下埋設配管)を有する施設であるため、この項目では地下貯蔵タンク等の漏れの点検について説明していきます。
地下貯蔵タンク等の「漏れの点検」について
地下貯蔵タンク(地下埋設配管)を有する施設においては、「漏れの点検」を実施しなければなりません。地下埋設箇所に腐食劣化による穴や異常がある場合、目視では発見することができないため、「漏れの点検」の実施が定められています。
   
↑の写真は危険物施設の地下貯蔵タンクと埋設配管が、腐食劣化により穴が開いた状況です。土壌中のため発見が遅れ、大量の危険物を流出させる事故を起こさないためにも「漏れの点検」を実施し、異常を確認することはとても重要なことです。
「漏れの点検」はガスや液体により、タンク及び配管に気密漏えいがないかを確認する点検で、具体的には総務省消防庁から「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」(平成16年3月18日付け消防危第33号消防庁危険物保安室長通知)により示されております。
点検実施時期について
原則1年に1回以上実施しなければなりません。ただし、完成検査日や地下貯蔵タンクの取替からの経過年数により、3年に1回以上となる場合があります。詳細は、こちらでご確認ください。
地下貯蔵タンク等の漏れの点検について(PDF:14KB)
地下埋設配管の漏れの点検について(PDF:14KB)
◎異常が発見された場合について
定期点検で異常が発見された場合は、再度詳細な点検を実施し異常個所の特定や施設の使用停止、更には改修等を行う必要があります。改修工事の内容によっては変更許可申請や資料の提出が必要となる場合がありますので、消防本部予防課までご連絡ください。
◎日常点検の重要性について
危険物施設における事故の未然防止や異常を早期に発見するためには、定期点検のみならず、自主的な日常点検を行うことが非常に有効です。特に設備機器の不具合の場合、腐食劣化による危険物の漏えい事故が多く発生しておりますので、始業時、終業時等に設備機器点検や危険物の在庫管理の実施に努めましょう!

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