山麓探偵団通信
編集・発行 = 「山麓探偵団」事務局 樋口 裕峯
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本年最終活動
「 樹海を見渡す 」
12月13日・15日は、本年最後の探偵団活動であった。
今までは樹海の魅力を探索し、洞窟や巨木をはじめ「樹海の中」に親しんできたが、その樹海全体を見渡せる場所があるということで、渡辺長敬さん・伊藤さんに案内していただいた。
13日は、残念ながら雨模様で活動を中止をしたが、15日はこの上ない快晴に恵まれた。
正面に雪で輝く頂上を仰ぎ、右に広がる稜線をたどれば遠く駿河湾が伊豆半島を背追って輝き、左の稜線をたどれば山中湖周辺の山々が連なり、御坂山塊、秩父連山、雪を冠った八ヶ岳、南アルプス連山がグルッと一望できる。
眼下には、本栖湖、精進湖、西湖、河口湖を見下ろし、大室山を筆頭に寄生火山の山々が火口列をなしている。
そして、長尾山から大室山を左右に巻き込み、精進湖、西湖の湖岸まで深緑色の林の海が広がっている。
これが正に樹海である。
何と壮大なパノラマであろう!これこそ生きいきとした富士山山麓の姿だ!
この中のほんの少ししか知っていない。ほんの少ししか見ていないのだけれど、両手を広げると富士山を抱きしめられる程に景色が迫って来る。
この2年間「富士山の魅力再発見」をテーマに行ってきた「山麓探偵団」の活動メニューが次々と思い出される。
今日は、二年間の締めくくりに相応しい光景と場に立つ事ができ、この上ない至福の時であった。
久しぶりに会った団員、初めて参加される方など、総勢14名とそれを共感できたことに感謝したい。【樋口裕峯】
◇ 「団員レポート」 ◇
強烈な冬型の気圧配置により、寒さがきついものの、空は澄み渡り最高の天気となった。景色を楽しむには絶好の条件だ。集合場所の「あみん」でレクチャーを受けた後、精進湖へ移動し、パノラマ台へ向け登山開始。私は富士五湖地方に住んで約十年になるが、地元の自然について知らないことだらけ。歩きながら、団長の伊藤浩美さんと渡辺長敬さんから、道端の落ち葉、木の実、花、昆虫等について、種類の見分け方、それらの存在から分かることを教えて頂いた。普段の山歩きなら「運動」+「景色」だけで終わるところが、今回のように「生物界」と「地学」の話題が加わることで、どんなに楽しく奥が深くなるかが分かった。
といっても、10キロの赤ん坊を背負って息を切らしながら歩いていること、そして世話人の樋口さんのダジャレへの動揺により、教えて頂いたのに忘れてしまったことも多い(言い訳)。
それでも、コナラとミズナラの関係、ブナとスズタケの関係などは印象的だった。そして何といっても精進湖のパノラマ台からみた景色の素晴らしかったこと。広大な青木が原樹海、駿河湾と伊豆半島、秩父山系、日本海からの雪雲に覆われた南アルプス(方面?)が一望できた。
そしてここの特徴だが、足元の精進湖と本栖湖からの山肌の傾斜が急で、かつ山が細長く突き出ていることで高度感が出、眺望が大迫力となっている。プレートの割れ目沿いに出来た富士山とその寄生火山群の火口の位置関係、貞観大噴火の爪跡 などの説明をパノラマ台から実際にこの目で眺めながら聞き、富士山は生き物だと感じた。
そして、登山道にあった海底地層についての解説を聞き、地球は生き物だと感じた。小さな世界から大きな世界まで、今日は大変勉強になった。【Oさん】
今年は、今回を含めて探偵団に七回参加させていただきました。毎回、富士山麓を歩きながら、私の知らなかった富士山麓をいろいろと教えていただき、少しずつですが富士山麓の姿を垣間見ることが出来るようになりました。自然の新たな“発見“の喜びを味わいながらの楽しい山麓歩きは、何にも変えがたい貴重な体験だったと思っています。いつもお世話をしていただいています、樋口さん、伊藤さん、加藤さん、本当にありがとうございます。
今回は、今年の富士山麓で体験した中で、とても思い出深かったものをいくつか述べます。
●青木が原樹海と雁の穴での美しい氷のオブジェ(氷筍)が印象に残っています。暗闇の中で、水滴が氷筍の上に落ちるときのクリスタルな音が、今でも思い出されます。この年になって、メルヘンの世界があるのに気付いたようです。
●伊藤さんのお勧め?で桃源郷を探しに大室山に登ったのも楽しい思い出です。不安な気持ちで、山頂に向かって直登し、ようやく山頂にたどり着いたのですが、山頂は背の高いスズタケに覆われ、展望どころか、一寸先はどうなるのかわかりませんでした。帰りは方向を見失い、やぶ漕ぎでした。でもとっても楽しい思い出です。再挑戦しようかと思っています。
●これも伊藤さんですが、「ピンクのヤマシャクヤクを見つけたら連絡をください」と言われ、あてもなく神座付近を歩きまわりました。ピンクのものは見つかりませんでしたが、神座山の斜面一面に白いヤマシャクヤクがたくさん咲いているのを発見しました。もう家内と二人で感激してしまいました。
●5月の連休に、まだ雪の残る須走を、一人でグランド・キャニオン、須走5合目、まぼろしの滝、獅子岩、木の根沢と歩き、富士の自然をたっぷりと味わったのも思い出となっております。
●最後に、たくさんの草花を知ったことも、大きな収穫でした。特に、白いバイカオーレン(軽水付近)、それにピンク色のイワザクラ(鬼が岳)を“発見”をしたときは、興奮しました。
以上です。 【Yさん】
パノラマ台から
落ち葉がカサコソ シャカシャカ
長い霜柱がザックザク ガシャガシャ
風がビュービューン ゴオーッ ザワザワ
吐く息はハーッ シュワァ〜ン
真っ青なカンパスに冬の射光を鋭く撥ね返す真っ白な富士山が
広く、広―く拡がった緑と黄褐色の樹海を従え
どうだとばかりにこちらを見据えている。
そのすさまじいばかりの迫力に声も無く、ただ呆然!
有りがちな山容とはまったく異なる「どうでもみてくれ!」との
自信を見せつける。
そんな素晴らしいものでした。
寄生火山がボコン ボコン
流れる溶岩がグワーッ ドドド ドーッ
ドッカーン ザブーンと大室山を左右に巻いてぶつかり、
流れを変える有り様。
ミニレクでのとおり。
今、目を閉じるとそれが一大スペクタルとしてその様子や耳を
奪わんばかりの地響きまで聞こえてきます。
感動したっ!
参加して2年になりますが、富士山麓には想いが尽きません。【Kさん】
事務局からのお知らせ
◇1002年の活動予定
山麓探偵団は、三年目に入ります。2002年の活動予定が決まりました。前半部分をお知らせいたします。活動予定(情報・天候により変更あり)
1月17日(木)、19日(土)
「スノウシュー&青空レストラン」
2月21日(木)、23日(土)
「冬の樹海を訪ねて」
3月14日(木)、16日(土)
「山麓の雪あそび」
4月11日(木)、13日(土)
「山麓の風景と植物(淡彩描法体験)」
5月9日(木)、11日(土)
「まぼろしの滝に出会えるか?」
6月6日(木)、8日(土)
「新緑を訪ねて」
7月11日(木)、13日(土)
「山中湖周辺の希少植物を見る」
◇団員登録更新のお知らせ
団員登録は、一年ごと行っています。
年会費は一家族千円です。
2002年度登録更新をされる方は、事務局(あみん)までお申し込み下さい。
参加者名、生年月日も申し出てください。
◇活動時間等の変更のお知らせ
集合時間は、木曜日、土曜日とも朝九時となります。(朝食は各自で済ませる)
集合場所は、実地踏査場所になるべく近いところをその都度設定します。
参加費は、一名につき2,500円(障害保険付) *別途資料代がかかる場合もあります。
◇参加時の服装および装備の確認
山麓探偵団は、なるべく気軽に富士山麓の自然を再発見し楽しんでいただく事を目標にしていますが、活動場所はやはり山岳地帯であり、足元が危険な場合もありますので、なるべくトレッキングシューズをお薦めします。足元がしっかりすると楽しさが倍加します。
また、山の天気はいつも気まぐれです。帽子や手袋、それに雨具は常備して欲しいものです。
(団員登録の方に「参考装備資料」用意)