探偵項目 | 五合目からの発見―まぼろしの滝を探して | |||||
担当団長 | 伊藤 浩美 氏 (ネイチャー・フォトグラファー、山中湖在住) | |||||
活動日 | 平成12年6月10日(土曜日)[天気 : 雨] | |||||
活動時間 | 午前8時から午後5時まで | |||||
参加人数 | ミニレクチャー :
20名(ミニレクのみ1名) 実地踏査 : 22名(探査のみ2名) | |||||
参加者構成内訳 | 男性13名、女性12名 | |||||
20代(男0、女2)・30代(男3、女1)・40代(男0、女0)・50代(男7、女11) 60代(男0、女0) | ||||||
参加地内訳:他県 | 東京 : 8名 | 神奈川 : 5名 | 静岡 : 2名 | 埼玉 : 1名 | ||
〃 : 県内 (9名) | 甲府 : 1名 | 石和 : 1名 | 鳴沢 : 1名 | 山中湖 : 6名 |
<活動記録>
当初は「溶岩樹型の不思議」を予定していた。 富士山麓には噴火溶岩による洞窟や、その時生えていた樹木を溶岩が呑み込み、その熱で中の樹木が燃え、そのまま冷えて固まった溶岩樹形の穴が多数ある 。 最近貴重な溶岩樹形が次々と発見され、直系3mにも及ぶものや、多様な形状のものがある。 しかし、今回担当団長をお願いした伊藤浩美氏から、「 この季節にしか見られない 」という「 まぼろしの滝 」の情報を得て、急遽探索計画を変更した。 「 季節限定 」という伊藤団長の言葉通り、しかも当日の気候条件が揃わないと見ることができないという。 活動日の二日前に、伊藤氏、木村 修氏と三人で下見を行った。 風は強かったが晴天で、富士山の山頂から麓の町までを見渡す中腹の草原は絶景であった。 目的の滝は轟々と音を立て、山頂から一直線に岩を滑り滝壷の雪渓をくぐりぬけ、麓の町に向かって流れ落ちる光景は勇壮であった。 途中山頂を見上げると、線香の煙のような雲が一筋天に向かった。「 アッ、傘曇ができますよ!」と伊藤氏の言葉にしばし富士山山頂と天空の境を眺めていると、果して見る見るうちに雲は湧き、ゆっくりと回転をはじめ、傘曇が現れてくるという一部始終を眺めることができた。 正に、天も地も躍々として展開するこの一点に立ってしばし”存在の不思議”を感ぜずにはいられなかった。 「 団員にもこの感動を味わってもらいたい 」と念じながらも、雲行きに不吉な予感が横切った。 果して当日の探偵活動は如何であったか?・・・以下の活動報告書をご確認下さい。 団員の感想や作品の一部は「団員レポート」に掲載していますので、ご覧ください。 (世話人) |
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伊藤団長は、第一回活動にも団長をお願いした。 「山麓案内人」に相応しい知識は、「生きもの地球紀行」「動物わくわくランド」「動物奇想天外」などの動植物の貴重な生態を根気よく追い求め、それをフィルムに収めてこられた経験が大きくものをいう。 ライフワークともいうべき、樹海の動植物の生体とその棲息空間を収めた貴重なビデオフィルムは圧巻である。(探偵団収蔵) また、毎月「樹海散歩会」を企画して、樹海の魅力を伝えている。 山梨県の自然監視委員の一人でもある。 |
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今回は、取材や撮影の「 こぼれ話
」をミニレクチャーとしてお願いした。 きれいに収まった番組としてではなく、取材を通して感じたことや発見したこと。それに画面からは漏れてしまった生きものの生態など、伊藤さんの直接感じたものを話していただいた。 竹づつに仕切りを作りながら巣を作る、アルマンモモアカバチの生真面目な生態や、与える餌の数が違う理由。 カバキコマチというクモは、ススキの葉を巣にするが、独身時代の巣、結婚後の巣、子育ての時の巣の作り方が異なり、母グモは子どもの餌となって一生を終える話などについつい引き込まれてしまう。 |
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モズはなぜ百舌と書くのかの本当の理由。 雌のために大きな魚をとってきて与えるが無視されるカワセミの雄。 ペアリングを挑み餌と間違えられて食べれれる雄クモ。 ペアリングにあぶれた若いエナガは他の子育てを助ける。 等々ユーモアを交えての講義に、だんだん身につまされてくる。 極めつけの「 選択権はメスにあり 」にマジになる。 |
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いよいよ「 まぼろしの滝
」を目指して出発・・・だが。 現地は5m先が見えない霧のなか。「右手に富士山、左下に○○の町が見えます」と説明しても何の価値もなし。 しかも、二日前には轟々と流れいた岩場は水一滴もなし。前日は颱風のような 暴風雨だったのに・・・。 伊藤団長と世話役は真っ青。 「一応下見の時のビデオを用意していますから」といっても納得するわけがない。 (左の写真は二日前の下見の時に撮影) |
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二日前の下見の時は、確かにこのように富士山から流れ落ちるダイナミックな滝を見た。 振り返れば轟々と音をたてて裾野の町にまっさかさまに下っている。 この水が、このすぐ下方で地下に染み込み、裾野を潤しているばかりでなく、山麓のあらゆる生物を育んでいる。 富士山は、その姿の美しさに引き付けられ魅了されるのは当然だが、この様に多様でダイナミックな営みに触れるとき、この場に存在することの不思議さや喜びが込み上げてくる。 その共感を団員に味わってもらう計画だが、今は一滴の水もない。 |
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第一回活動 ・第二回活動 第三回活動 |