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登山の装備

登山の準備・目次

上から順番に読んでいただけますと、富士登山ツアーに対しての心構え、準備すべき装備がわかります。
また、読みたい項目が決まっている方は、以下のリンクから読みたい箇所へ移動できます。

登 山 に 向 け て

夏休みを利用して富士山に登ろう!!と決めたとして、さてどういう準備をすればいいのだろう??山登りをやったことがない人には細かいところまで想像が付かないと思います。

そこで、ここでは安全かつ快適に富士登山をおこなうために準備しておいた方が良いものをまとめてみました。

富士登山の際に知っておきたいこと

ガイド付きツアー

ガイド付きツアー

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富士山ってどんなところでしょう。標高が高い、石がゴロゴロしている、寒そう・・・など、皆さんの頭の中には色々な事が思い浮かぶと思います。そんな中でも、富士山に登るに当たって特に注意したいことが3点あります。まず1点目は空気の薄さ、そして2点目は気温の低さ、最後の3点目は事故の可能性についてです。

まず1点目の空気の薄さについて。皆さんもご存知の通り富士山は日本一の高さを誇っており、下界よりも空気が薄くなっています。五合目の平地を歩いている段階ではまだ体感できるほどの影響は無いかもしれませんが、いざ登山を始めるとこの空気の薄さはすぐに体感できる状態で表れてくることでしょう。このような高所では、とにかく体に無理な負担をかけないことが重要です。「少々息が上がってでも、せっかく来てるんだし頑張らないと!」と言う考え方では、長丁場の富士山では逆に後できついしっぺ返しを食らうことになってしまいます。

できるだけ息が上がらないようにペースを一定に保ち、一歩一歩の歩幅は小さく、30分ぐらい歩いたら5分休憩と言った具合にあせらずのんびり取り組みましょう。この「あせらずのんびり」こそが、富士山登頂への秘訣でもあります。

次に気温についてですが、富士山は高所であり、樹木が無く、日陰がないため、直射日光が当たり、日中はかなり暑いことがあります。しかしながら、夜ともなれば、時期によっては夏でも気温は氷点下になることさえあります。このような昼夜の激しい気温差は体力を奪っていきます。常に適切な温度を維持できるように、暖かい服と着替えを持っていく必要があります。山頂は大変寒く、雪が降る可能性もあることを覚えておきましょう。

そして最後に事故の可能性について。1年の内の夏の2ヶ月という、ごく短期間に集中して人が押し寄せる富士山ですから、事故の数も少なくありません。特に落石と落雷、転落の事故が多く発生しています。富士山は溶岩と火山灰の山ですので、大変崩れやすく、落石が多発します。強風や豪雨による自然発生的な落石もさることながら、残念なことに多くの落石の原因は、登山者が谷側を歩き石を下に落としたり、子供が石を投げたり、風で飛ばされた帽子を取りに登山道をはずれ、落石を起こすなどの人為的なものとなっています。

落石を起こさない、そして自らの転落を防ぐためにも、絶対に谷側に近づかないようにしましょう。

また、高所ですので、雲の中を歩くことも多くなります。そのために、落雷はどこから来るのか分からず、非常に危険です。加えて、富士山には樹木も無いため避難できる場所が希少です。天気の悪い日は無理をせず登山を見合わせる勇気も必要です。

いくら観光地化されてるとはいえ、不運にも富士山で亡くなる方もいらっしゃいます。体調管理、事故防止についてはしっかりと肝に銘じ、準備を万全に整えておくことが必要でしょう。

ガイド付きツアーでは、富士登山ガイドはお客様をご案内するとともに、万一の事態を防止する努力をしております。事故防止のため、具合が悪くなったりしたときには無理をせずガイドに相談してください。

富士登山に必要な装備

ザック

15~25リットル程度の容量のものがお勧めです。ウエストベルトやチェストベルトがついたものであれば、ザックが体にしっかりと固定され、左右に揺れないので疲れにくくなります。あわせて、ザックカバーもあると、雨や汚れからザックや中の荷物を防ぐことができます。

軽登山靴

靴底がしっかりしており、ハイカット(くるぶしのあたりまで覆う深い靴)のものが、砂や小石が入りにくく快適です。靴底の薄いスニーカーなどは滑りやすく、岩場を歩いている間に靴底が破れたりすることがあります。できれば登山用の靴を準備しましょう。

また、買ったばかりの靴は固く、足になじむまでに時間がかかります。少なくともその靴を履いて2、3度は簡単な山に登り、履きならしておきましょう。山に行くことができない場合でも、日常生活で履いてみるなど、履きならしておくことが非常に重要です。

靴擦れの予防に、テーピングがあると、靴が当たる箇所に貼って対応できるので便利です。

服装

ズボン

膝を曲げやすい、伸縮性のある化学繊維の長ズボンを用意しましょう。ジーンズや綿のパンツなどは雨に濡れると大変固く、重くなり動きにくなるので不向きです。また、半ズボンなどは岩場で転んだ際にけがをしやすいので、これも避けてください。

シャツ・下着

普段のもので結構です。可能であれば綿ではなく化学繊維などの乾燥しやすい素材のものを用意しましょう。一度下着が汗で濡れてしまうとなかなか乾かず体温の低下を招き、凍えてしまい動きづらくなります。衣料品店、スポーツ用品店、登山用品店に行けば、速乾性の化学繊維のTシャツを売っています。

また日中歩くときは日差しが強く、高所は紫外線も強いので、日焼けを避けたい人は長袖のシャツを用意すると無難です。

手袋

岩場を歩く際に、手を保護するのに役立ちます。また、夜間は冷えるので、防寒にも役立ちます。できればフリース等の化学繊維の素材ですと、濡れにも強く、保温性が失われません。

帽子

日除け対策、熱中症、熱射病対策として用意しておきましょう。また、強風で飛ばされてしまうことがあるため、ひもがついている帽子を用意するか、衣服やザックなどに帽子を固定できるクリップを用意しましょう。

靴下

少し厚手のものを用意すれば、靴擦れしにくくなります。ただし、必ず一度はご自宅で靴下と靴との相性を試してみるようにしてください。ウールや化学繊維だと保温性も高く、快適です。

防寒具

夜明け前の山頂付近では、気温は0度近くになることもあります。風も強く、まさに冬のイメージです。そのため、夜間に登る際には必ず防寒具が必要になります。2泊3日のコースの方でも、小屋の中とはいえ夜は寒くなるので用意しましょう。フリースやセーター、トレーナー、薄手のダウンなどの、軽くて保温性がある衣類を用意しましょう。

また、ウィンドブレーカーなどの風を遮るものも効果があります。雨具でも兼用できます。

雨具

富士山では風の影響で、雨が下から吹き上げてくることもあり、傘やポンチョは役に立ちません。できれば上下が別れたセパレートタイプの雨具を用意してください。防水透湿素材のレインスーツが蒸れにくく最適です。

登山用ゴアテックスの雨具は2~3万円と高価ですが、ほぼ同等の機能を持った雨具も1万円以下で手に入れることができます。100円ショップで売ってるような薄手のビニール雨具は、すぐに破れてしまうので避けましょう。

ヘッドライト

夜間登山には必携です。また、2泊3日コースの方でも、夜間にトイレへ行くときや、消灯後の寝床での行動にあると便利なので用意しましょう。手で持つタイプの懐中電灯ではなく、ヘッドランプのような頭に固定するタイプのものが、両手を自由に使うことができるため便利です。

登山中にはたくさんの水が必要になります。しかし、水は大変重く、1リットルも2リットルも持っていくと、それだけで荷物がかさばり重くなってしまいます。富士山では1度バテてしまったらなかなか体力を回復させるのは困難ですし、高山病の発症に繋がる事もあります。

富士山の山小屋では、500mlのペットボルの水を500円程度で購入できるので、持参するのは500mlのペットボトル1、2本程度にしておいて、足りなくなったら小屋で買うようにして効率的に登山をしましょう。

行動食

飴やチョコレート、ビスケット、ゼリー飲料などの、食べやすいものを用意してください。比較的行動中のエネルギーになりやすい、糖分の多いものが向いています。

ゴミ袋

富士山にゴミ箱はありません。自分が出したゴミは自分で持ち帰れるよう、ゴミ袋を2、3枚用意しておき、無駄なものをあまり持ってこないようにしましょう。

その他

常備薬、健康保険証、ちり紙(水溶性が望ましく、芯を抜いたトイレットペーパーなどもあると便利です)、カメラ、貴重品など。

あると快適なもの

マスク

晴天が続くと下山道は砂塵がひどくなります。マスクを用意しておくと良いでしょう。

スパッツ

富士山の下山道は深い砂利道のため、靴の中に砂利などが入りやすくなります。ズボンの裾が靴を覆うようであればさほど必要はありませんが、スパッツなどを装備すればより快適に下山が出来ます。

ストック・杖

富士山の下山は登りよりも大変です。膝への負担を減らすためにも下山時にストックがあると便利です。1本よりも2本のほうがバランスよく歩けます。

日焼け止め

富士山では日差しが強いため、後々のことを考えると日焼け止めを塗っておいた方が安全です。肌が弱い人は紫外線で火傷をすることもあります。また、日焼けによって体内の水分が奪われ、疲労や高山病の原因にもなります。

着替え一式

着替え一式を持っておくと便利ですが、荷物になってしまうのも確かです。ツアーで来ている場合、ズボンやシャツなどの重くてかさばる着替えなどは五合目のバスに置いておき、下山してきてから着替えるようにすれば快適です。また登山時に持っていく、下着やTシャツなどは、ビニール袋で密閉するなど、防水対策をしておきましょう。

登山は富士登山だけ、登山用品はよくわからないけど、きちんとした装備で富士山に登りたい方には、登山用品のレンタルという手段もあります。

ラモントという登山用品専門のレンタルショップでは、富士登山専用のセットもあり、スバルライン五合目で装備を受け取ることも可能です。

詳細はラモントのウェブサイトを参照してください。

高品質!清潔!富士山登山用品レンタルショップ LaMont

富士登山に向けての体力づくり

ふだん殆ど運動をしていないのに急に山登り、と言う人も見かけますが、なんと言っても日本一の富士山、実際の登山はなかなか大変です。そこで、ご自宅近辺のちょっとした山に登ったり、あるいは休日にちょっと長めの散歩してみるなど、出来れば富士山に備えてしっかり歩く練習をしておきましょう!以下にオススメのトレーニングを挙げておきましたので、参考にしてみてください!

近場の山に登ってみる

山歩きには、ただ平地を歩くのとは違った独特のリズムやペースがあります。山の歩き方に慣れているかどうかで、疲れ具合も大きく変わってきます。なかなか時間がとれないという方も多いとは思いますが、出来れば富士山に登る前に、2、3回程度、高尾山や六甲山のような2~3時間以上の低山コースを歩いておくことをオススメします。そうすることで、本番の富士登山もぐっと楽になり、登山をより楽しめるようになるでしょう。

荷物に慣れる

日帰りや一泊のケースが多い富士登山は、長期間の縦走などに比べれば荷物は軽いものです。しかし、荷物を背負って長時間歩くということは日常生活では余りありません。平坦な道を散歩するときでもかまいませんので、富士山に持っていくものを一通り用意して、その荷物を背負って歩いてみましょう。練習であることを考えれば、水を1~2リットル余計に持つなど、少し重くしても良いかもしれません。

基礎体力を作っておく

富士登山の全行程は、その人のペースにもよりますが、約8~12時間かかります。1日半の間にこれだけ長時間歩いた経験がある方はなかなかいらっしゃらないと思います。この長時間の登山を乗り切るために、事前に運動をして、しっかりと体力を作っておきましょう。

とはいっても、そんなにハードなトレーニングをする時間も余裕も無いという人は多いと思います。そういう方は、たとえば普段はエレベーターを使っているけど階段で・・・といったように、日常の中で少し活発に動いてみることをお勧めします。こういった身近な運動をするだけでも、富士山を登る際の大きな手助けになります。

基礎体力づくりにお勧めの運動

ジョギング

基本的な体力を作るにはもってこいの運動です。無理なく走れる程度のペースで走りましょう。ツアーでは20~30分ぐらい歩いて、5~10分休憩といった歩き方になるので、それに合わせてみても良いかもしれません。

ウォーキング

1時間程度のウォーキング等が効果的です。天気のいい休日に、散歩をかねてちょっとどこかへ出かけてみましょう。その際、ただ歩くだけでなく、しっかり足を上げる事を意識するとより効果的です。

もも上げ運動

登山でのメインの動きは、ももの上下運動になります。足踏みの要領で出来るだけゆっくり、高くももを上げ下げします。この運動を毎日1分間×3回ぐらいおこなうと効果的です。

階段の上り下り

階段の上り下りは、身近な動きの中では最も登山の動きに近い運動になります。ちょっと荷物を背負っておこなってみると効果的です。

失敗に学ぶ成功の秘訣

富士登山を目指す目的は、もちろん夢は御山の頂を極めることですよね。

しかし現実には頂上を目指しながらも、気分が悪くなったり、疲労で体が動かなくなったりと、途中であきらめなければならなくなる方も多くいらっしゃいます。

では、富士山頂上まで登れず、途中であきらめることが失敗になるのでしょうか?そうではありません。私たち登山ガイドはもっと悲惨な例をたくさん見ています。例えば、登山中に不注意で怪我をしてしまい、富士山から帰ってきたときには、自宅ではなく病院に入院していたということがあるのです。山道を登るだけだから危ないことは無いとあなどっていると、取り返しのつかない大きな怪我を負ってしまうかもしれないのです。ですから、登山成功のために必ず守っていただきたいことがあります。

  • 自分の力を過信しないこと
  • 途中で断念する勇気を持つこと
  • 山小屋のスタッフや登山ガイドのアドバイスに耳を傾けること

簡単なことではありますが、上の3つを守っていただくだけで、登山をするときにトラブルに巻き込まれる可能性は大きく減ることになるのです。

富士登山は難しいものではありません。かといって不注意や不用意が重なるだけで、無事に登山を成功させることが出来なくなってしまうのです。そんなツアー参加者を見ると、私たち登山ガイドは「この人は本当は登れる体力があるのに、もしかしたら登れないかもしれないなぁ・・・」と思ってしまうことがしばしばあります。

そこで、登山ガイドから見た、参加者の皆さんのよくある失敗例を挙げさせていただきます。登山の時に注意していただくだけで、登頂率は上がり、事故に遭う確率は下がりますので、是非ご一読をオススメします。

荷物が重い!

  • 自分の荷物に加え、子供の荷物を抱えて、疲れた子供を担ぎ、さらにビデオカメラを回すお父さん。子供がかわいいのはわかりますが、自分がバテてしまっては…
  • 弁当、おやつ、非常食、ペットボトルを何本も山のように抱えてくるお母さん。そんなにたくさん食べられませんよ。
  • 大宴会をするつもりで一升瓶を何本もかついできた皆さん。飲んだ後の一升瓶を捨てる場所は山にはありません。無駄に荷物を増やすだけになってしまいますから、宴会は山を下りてからされるほうがいいですよ。

一番多いパターンは、荷物の持ちすぎです。たかが1、2kgでも8時間も持ち続ければ自慢の体力をじわじわと消耗させてしまいます。荷物を絞って 4-5kg にまとめるのが理想的です。

では、どんな対策を取るのが一番良いでしょうか?手っ取り早く「飲食物」を軽くすることがポイントです。

まずは飲み物。晴れて暑い日でも、飲む水の量は下山までに2リットル程度ですが、持つのは 500ml〜1l程度に抑えましょう。食べ物については、軽くてエネルギーになるもの(菓子パン、チョコなど)を中心にするといいでしょう。水気の多いものは重くなります。

万が一、足りなくなったらどうするの?とご心配でしょうが、そのときは山小屋で売っているものを活用するとよいでしょう。下界のスーパーやコンビニに比べると確かに値段は張りますが、安全に登山をするのならなるべく荷物を軽くすることが一番です。必要なときに必要な分だけ補充できる山小屋の活用は、支払う対価に見合う価値は十分にあるのです。

雨具や防寒具が足りない!

  • 山頂目指して夜間登山中、汗が冷えて寒い思いをしている人
  • 雨が降っても持っているのはポンチョだけ、脚から濡れて酷い目にあう人
  • 雨が降ったら傘をさせばいいと思っている人

富士山に登る覚悟がある以上、ほとんどの人は「朝の山頂は寒い」「雨が降ることがある」といったことはご存知だと思います。しかし、標高3700m級の富士山における寒さは、下界のそれとは全く違ったものなのです。

一番気をつけなければいけないのは雨具。雨にさらされると、体が冷えて動けなくなってしまいます。防水のしっかり利いた、上下が分かれたセパレートタイプの雨具を選びましょう。山の雨は風のせいで横から吹き付けますから、脚が完全に覆えないポンチョ(上から羽織るもの)、100円ショップで売ってるような薄手のビニール雨具は避けることをお勧めします。

意外と見落としがちなのが下着です。

綿のような汗を吸う素材ですと、昼間の汗を含んだまま発散しないため、夜間や急に天候が悪化したときに、水分を含んだ下着が体温を奪ってしまうということがあるのです。

ですから、下着はなるべくなら化学繊維のものを使われることをオススメします。あとは汗をかきすぎないようタオルで拭ったり、体調に合わせてこまめに服を着替え、蒸れないようにすることが重要です。

朝の山頂は摂氏0度くらいまで下がるのが普通だと考えてください。さらに風雨が加わるだけで、ものすごく寒くなることを覚悟してください。

歩きのペースがめちゃくちゃ!

  • 最初からはしゃいで先頭を走り回るも、すぐにスタミナ切れで途中からピタリと動かなくなるお子さん
  • 若さにまかせて最初からハイペースで、途中から高山病で苦しむお兄さん、お姉さん
  • 疲れたからと、少し歩く度に数分休んでまた数歩と繰り返してしまうおじいさん、おばあさん

登山中に良く見かけるのが、ゆっくり歩いている私たちツアーを颯爽と抜いていく人達です。富士山では本当にたくさんいらっしゃいます。亀を追い越すウサギのような素早さです。

でも、その人たちにずっと上で再会することも多いんです。ハイペースで登りつづけた結果として、山小屋までたどり着かずにバテたり、高山病で苦しんでいます。

登山ガイドが皆さんにスローペースで歩いていただくのは理由があるのです。その理由はゆっくりとした正しいペースを維持することで、無駄に体力を消費せず、山頂に楽に着くことができるうえ、高山病を防ぐことができるからです。

実は、皆さんは低地から五合目(標高2300m)までを、バスに乗ってたった1時間で来ているのです。

この間、気圧は2割程度下がっています。それでは気圧に体が順応できないのも当然です。その上、ハイペースで登ればどんどん気圧が下がっていきますから、余計に高山病になりやすくなってしまうのです。だからこそ、最初は時間をかけてゆっくり歩くのが肝心です。

もうひとつの歩き方のポイントは、「一定のペースで、休みすぎない」ことです。バテてくると、どうしても休みたくなり、数歩進んでは休む。そして、気合を入れてまた数歩、力尽きてまた休む。

しかし、進んでは止まる歩き方は決してよくありません。歩き出すときに勢いをつけて進むだけに体力が余分にいりますし、夜間なら休憩中に寒くて体が冷えてしまいます。多少はゆっくりでもいいですから、なるべくツアーの列に付いて励まし合いながら歩くといいですよ。

山小屋ではよく休もう!

  • 「眠れないから」と夜に山小屋でいつまでも起きている人

シーズン中の山小屋は宿泊客が多い上に騒々しいです。 だから、眠れないということはわかります。でも、八合目まで4時間の山道を登ってきて、疲れていないはずはありませんよね。朝は23時~24時出発と早いのですから、少しでも体力の回復に努めたほうがいいですよ。

たとえ眠れなくても、横になって目をつぶっているだけでも、体を起こしているよりも疲れが取れますから…。

どうしてお酒をたくさん飲むの?

  • たどり着いた山小屋でなみなみとした杯を乾している方々が見受けられます。確かに、おいしそうですが…

皆さんに知っておいていただきたいのが、「山では低地よりもずっと酔いやすい」ということです。これは気圧が低いことと登山で体力が消耗しているからです。翌朝歩きはじめるのも早いですし、酔いが抜けないときっと後悔します。また、皆さんの体の中では、お酒を分解するために、水分を使うため、高山病にもなりやすくなります。お酒は登頂を果たし、下山した温泉で汗を流した後のほうがよいと思います。

ちなみに太子舘では「館内禁酒」となっています。ご注意ください。

以上、私たち登山ガイドがよく見る失敗例を挙げてみました。これを参考にして、ぜひツアーに参加している皆さんで一緒に登頂を果たしましょう。富士山でお待ちしております。

注意事項
本ページの記事をもとに、計画・実施された山行で発生したあらゆる不利益に対し、太子舘は責任を負い兼ねます。