山麓探偵団通信
編集・発行 = 「山麓探偵団」事務局 樋口 裕峯
【2001年】 【2002年】
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六月の活動報告
新緑の樹海をたずねて
六月十三日(木)・十五日(土)は、「新緑の」樹海をたずねて」というテーマで探偵団活動を行った。担当団長は伊藤浩美さん。
樹海は、何度訪ねても新しい発見や感じ方がちがう。
また、天候や季節によって、植物の種類や色もちがう。
今回は、渡辺長敬さんも参加され、道すがら植物の話をお聞きした。
昼食をとった付近に、「ヒトツボクロ
(蘭)」を長敬さんが発見! 20pあるかないか、どうということもない植物だが、小さな小さな穂先のような花をルーペで見ると・・・
何と、うす黄色の園芸や家庭で鉢植えされている蘭の花そのものである。
また、樹海の木の幹に「銀メッキゴミグモ」という2〜3ミリくらいの蜘蛛を発見。背中に一刷毛ちょっと銀メッキをしたように銀色に光っている。
何とも可愛くなり、家に帰り家内に話した。確か、名前は絵本の中に出てきたことがある。
翌朝、テラスへの窓を開けた。
な・な・何と、鴨居にあの「銀メッキゴミグモ」が巣を張っているではないか!
あゝ、ここも森の中なのだ!
あらためって、「くらし」の中の発見をした。樹海はどんな時もありがたい。
団員活動報告
サッカーWカップで日本が決勝進出を果たし、日本中に興奮の余韻が残っている翌朝、雨の匂いが残る新緑の樹海に足を踏み入れる。
少々寝不足で疲労物質が体内を駆け巡っていたが、しっとりとした雨上がりの樹海の空気がやんわりと私を包んでくれた。
これまでも四季様々な樹海を肌に感じてきたが、新緑の雨上がりの樹海も格別!
樹海を司る女神というものが存在するのであれば、奥深いしっとりとした大女優の魅力と風格に魅了されたという感がある。
「彼女」は季節ごとに、時には清廉な少女役で我々をわくわくさせ、時には慈母の姿で我々に感銘を与えてくれる。
歩みをすすめる毎に「彼女」を中心にストーリーは展開する。雨上がりにしか登場しない「気難しい?」粘菌やきのこ達。ルーペで覗き込むと「こんな季節に霜柱?」と思えるような美しい光景がルーペの先に広がる。
倒れた木々から新しい命の芽が吹き出している「倒木更新」。鬱蒼とした樹海の中では倒れた木によって出来た空間に差し込む光によって倒れた木々から芽吹いた新しい木の芽が育っていくそうだ。「倒木更新」のことを英語では[Forest Nurse]「森の看護婦(保母)」と表現していると聞いたが「彼女」も樹海にはなくてはならない登場人物である。
めったにお目にかかれない幻の登場人物も突然現れる。「ひとつぼくろ」という蘭の仲間だという。ルーペで観察するとまさに可愛い蘭の花。白いストライプのシンプルな葉の表からは想像できない艶やかな紫色を葉の裏にかくしている、なかなかオシャレな奴である。
「めったにお目にかかれない」幻の登場人物(稀少植物)の中には、燻し銀の俳優達や個性的な魅力ある女優が富士山麓には数多くいるとのことである。
しかし、我々観客の目に触れることなく消え行く危機にさらされているとのこと・・・
我々がこれからも「富士山麓劇場」において素晴らしいストーリーに感動していきたいと願うのであれば、我々観客は個性的な魅力のある「役者」を発掘する目を持ち育てていかなければならないであろう。観客が暖かい目で見守ってやらなければ多くの才能ある「役者」は舞台から去らなければならなくなる。
「役者」が育たない舞台はやがて衰退する・・・それはあまりにも寂しいことである。
一人でも「良い観客」が増えていくことを願わざるを得ない雨上がりの一日であった。 【千葉県 Sさん】
六月活動参加者募集
「山中湖周辺の希少植物に会う」
テーマ:山中湖周辺には、レッドデータブックの上位にランクされる植物や、天然記念物の樹木など数多くあります。
下調査では、山梨県で第一号の発見になるものも発見されています。
どんなものと出会えるのだろう・・?
担当団長:渡辺長敬さん
活動日:七月十三日(土)・十八日(木)
集合時間:朝九時(朝食を済ませて)
集合場所:森の喫茶室あみん
ミニレクチャー:「富士山麓の希少植物」
参加費:二五〇〇円(保険代含)
持物:お弁当、雨具、虫眼鏡、筆記用具
服装:トレッキングシューズ又はそれに順ずる履物、軍手、帽子など
〆切:十三日は十日、十八日は十五日