山麓探偵団通信 

編集・発行 = 「山麓探偵団」事務局 樋口 裕峯

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山麓の水シリーズ V

富士山の植物博士同行

< 六月一六日(土)>
 梅雨の季節のアウト・ドア企画には悩まされる。
 昨年の六月は「まぼろしの滝発見!」を企画。二日前の最高の状態での下見が、当日は濃霧の中。でもこれが劇的な展開になるとは、誰も予想していなかった。今年も天候は霧と時々小雨。そんな中で始まるミニレクチャーのテーマは「巣立ち」つい先日まで「あみん」の壁で子育てをしていたシジュウカラも巣立っていった。そして、「ペンションまりも」さんの入り口脇での「キセキレイ」の子育てが真っ最中であり、それを撮影したばかりの伊藤さんのビデオを交えて一同いつもながら目を見開かされる。今回の実地踏査では、昨年同様まぼろしの滝に出逢えるか密かに期待していた方もいただろう。
でも今回の場所は例年よりは雪解けが早かったそうだ。
 5合目からの道すがら、富士山および富士山周辺の植物について最も造詣の深い渡辺長敬さんにご同行いただいた。
 「なぜこんな小さな葉っぱだけで分っちゃうんだろう?」と驚くほどのフィールド知識抜群の渡辺さんだ。(団員の満足度は、団員レポートをお読みください。)「山麓探偵団」ならでわの一日だった。

< 六月二一日(日)>
 この日も生憎雨模様。予定を変更して数日前伊藤さんが撮影取材で発見した「三光鳥」を訪ねる。本当に里山というか、富士山直結の林ではないが針葉樹と広葉樹の分かれた林の中だった。
 三光鳥は、「月・日・星 ホイホイホイ」と鳴く。だから三光。
 団員の中にはその優雅に飛ぶ姿を発見したものもあり、滅多に聴けないその声を聴いた者もあった。
 その後、伊藤さんのスタジオ兼住まいにお邪魔して、「粘菌」のミクロの世界をのぞかせていただいた。
 ミクロの世界にもまたはまりそうなメンバーたち。


                      「団員レポート」

<
六月十六日活動>

◆雨にぬれて艶々した新緑の林を抜けると、赤い岩だらけの山裾。足元に広がる雲の群れに霧。自然の美しさと神秘を体験しました。
  渡辺さんの説明していただいたことで、特に印象に残った植物がありました。ダケカンバという、木肌がすべすべした白いすらりとした木。山を歩いているとしばしば目にするこの木を「森林限界の目印」だと教わりました。
 森と荒涼とした山の境目に生きるダケカンバ。
 私には、生命の素晴らしさを詠っているように見えました。
 全てのものが、精一杯生きているんだな、と思いました。  静岡県(I)

◆今回で三回目の参加ですっかり探偵気分の私。霧のたちこめるスバルラインからのスタート。
 御中道(おちゅうど)には初めて目にする植物がいっぱいでした。植物博士の渡辺さんの発見などで珍しい花など、まだ小さい若葉ながら見ることができました。
 しかし、これからが花盛りの植物たちなので、「どんな花がさくのかなぁ?」と思いました。
 天気は霧だったり雨だったりと、かなり変化してしまいましたが、霧のミストの中にハンノキの香りが漂ってきたり、滑沢では天然のエステを味わったりして最高のアロマテラピーを体験しましたわ。ラッキー!後半は、徐々に晴れ間が出ると、森全体の表情も変って見えるから不思議です。眩しいくらいの黄緑色の葉っぱたちが、とてもきれいでした。
 今回は、木々の合間をぬうように歩くことも多かったり、雨や霧での変化もあったせいか、すごく五感が高まっていたように思います。
 花の香りや鳥の声、雨や霧の感触がとても心地よかったです。
 植物や鳥の話、自然の生態系、それらの変化。毎回毎回少しずつ知識が広がり、体験することで自分の世界も広がるのがとても楽しいです。    山梨県(I)

◆東京でも、数年前までは今ごろの朝は、カッコウの声で目覚めたものでしたが、最近はきかれなくなってしまいました。
伊藤さんのホトトギスやカッコウのお話を聞いて、このことに気付き、寂しい思いになりました。
 托卵する鳥とだまされて?托卵した鳥の卵を温める鳥のお話しは、自然界の生き物が生きていくための工夫や知恵を感じ、とっても面白く思いましたが、人間の世界にも似たようなところがあるように思ってしまいました。
 実地踏査では、富士の植物に大変詳しい渡辺さんが同行していただけると聞いて、私の知らない富士山の植物をたくさん教えていただけるのではないかと、期待でワクワクしました。実際に、知らなかったたくさんの木々や草花を教えていただきました。ただ、一度にたくさん教わったので、とても全てを覚えること出来ませんでした。特に印象に残ったのは、ミヤマハンノキのひだのある葉と香ばしいにおい、ツバメオモト、タケシマラン、ヒメタケシマランなどです。これからもう忘れないと思います。 東京(Y)

 今回のミニレクは「巣立ち」。初めにミソサザイ、カイツブリ等の習性を説明された後、オオヨシキリを例にとって「托卵」のお話でした。    
 毎日一つづつ卵の数を数えてるかの様に律儀に生みつづけるオオヨシキリ。その間隔を狙って早業で(数秒のこととか)卵を入れ替え産み落とすカッコウ。しかも抱卵に入る前の2〜3個目をチャンスとし、また一日早く孵化し、他を突き落としエサを有利に貰うといった長い時間をかけて創り出し上げた生存本能。その虚々実々の駆け引きがあるときにはユーモラスにすら見えます。それでも生存のバランスは取れていると言います。
ヒトが在るがままの環境を維持すればうまくサイクルするものですね。(略)      鳴沢(K)

                          ◎   ◎   ◎
< 六月二一日の活動 >

天気も生憎なら、まぼろしの滝も幻で終わりましたが、今回もそれを上回る不思議の世界!三光鳥を探して入った小山の森は天気のせいもあるかもしれないけど、樹海とは雰囲気も違う薄暗い森。団長の伊藤さんは「ほら」っと三光鳥の鳴き声を聞き分ける。「月、日、星、ホイホイホイ」のホイホイホイくらいは言われればなるほどと思うけど、三光の月、日、星のききなしまではとても無理。三好さんは飛んでいるのを見たそうだけど、私にはその姿を捕らえることもできずにちょっと残念。尾が体の五倍くらいあるというその姿を見たいものです。
 私にとって今日のびっくりはキセル貝。木に何かついていると思ったら、それが陸生貝という。
貝って、海とか、川とか、池にしかいないものだとこの年まで思っていた。森の中に貝がいるなんて! 
 伊藤さんが藪の中から「ほらこれが粘菌」と木の皮にびっしり白いものがついているのをもって現れる。 ルーペでのぞくと煙突のような、霜柱のような粘菌がびっしり。これも想像していたものとは違っていた。     昼食後、伊藤さんの家に戻って見せていただいた微速度撮影の粘菌はなんとも不思議な生き物。それが時期が来ると高いところに上がって、形を変えて胞子を遠くまで飛ばすという。伊藤さんが持っていた赤い粘菌をはじくと赤い煙が届くのがよく分かる。顕微鏡でのぞくと、 粘菌に混じって、小さな甲虫やさなぎの抜け殻が見える。
 顕微鏡でのぞかなければ見えない世界にも壮大な物語が広がっている。改めて、くよくよしないで頑張ろうと、森に元気をもらって大満足の一日を終えた。   東京(K)

◆森で三光鳥の鳴き声が少し聞こえた時は、(伊藤さんは皆が居なければズーとズーと夕方まで姿を追っていたのかしら。それとも明日またこの場所に来て、もう一度確認したいと思っているのかな?)と別の事を考えている自分がいました。
 そして粘菌を見ているうちに、映画「もののけ姫」に出てくる不思議な生き物は全く想像の物ではなく作者がよく森や自然を知っての事と感動しました。
 アニメの映画の一コマですが自然界にはどんなに多くの生物が美しい森を作るため存在しているのか、だれも気がつかない小さな生物を出演させた宮崎駿という人の考えを思いなおしてみました。
 広大な富士山のまわりの森に虫眼鏡でしか見えない粘菌が不思議な姿で生きている。「森は生きている」のですね。
 本当にいつも知らない事ばかりで小さく固まった頭の中身はどう整頓したらいいのやらと・・・伊藤さんには感謝しております。
 雨が降っても、楽しい一日でした。 甲府(N)


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イノシシちゃん出没・被害甚大

 今年もイノシシちゃんにジャガイモ畑が襲撃された。昨年も被害にあったのでジャガイモは作らないことにしていた。でも、地元の方の畑の続きの畝に二畝植えた。当方の畑は無化学肥料。すぐ隣の畝の大きく育ったものより先に被害にあった。勿論同じ品種。チョット自慢したいような変な気持ち。悔しいから全部掘って食べちゃった。イノシシちゃん一家(ウリボウ君とも)は、あみんの玄関先までちょくちょくお出ましです。